2016年5月3日火曜日

夏目漱石没後100年に

 昨日,横浜は港の見える公園の中にある,県立神奈川近代文学館へ,特別展「100年目に出会う夏目漱石」を見に行って来ました.

 私が夏目漱石の著作を読んだのは学校の課題で「こころ」をよま「された」ことからでした.
難しい内容に最初はなかなか読み進めなかったのですが,だんだんと引き込まれていったのを覚えています.
 もう一度夏目漱石を意識したのは,大学入試の「共通一次試験」の社会科の科目として倫理・政経を選択し,倫理にて「則天去私」という漱石の言葉を知った時でした.
 そして,漱石が行った講演,「私の個人主義」に出会います.
 よくわからないままでしたが衝撃的だったことを覚えています.

結果として当時の私は漱石のことを,「自分勝手という意味で誤解されている個人主義」を憂えた人物,小説家というよりも思想家である,と理解したのでした.

 ところで,私の母校では倫理の授業がなかったので,私大入試用の参考書を購入し,勉強したのですが,共通一次よりも詳しく,古今東西の思想家について学ぶことができました.
 おかげさまで受験した課目中最も正答率が高いのが,社会(理系なのに)という結果となり希望大学へ入学する助けとなってくれました.

 倫理学を学ぶという経験のおかげで,大学に入ってから社会学,心理学などの教養課程も興味を持って学ぶことができ,その後の私の行動に影響を及ぼしたのでした.
 在学中東洋思想,特に西田幾多郎,和辻哲郎などの日本の哲学者の著作を読んだのですが,どれも難しく,一番自分にすんなり入ったのが漱石の「私の個人主義」における主張や「則天去私」でした.
「でもさ,『天』に則するっていっても,そもそも『天』ってなによ?」ということでこの後も私の思索の冒険は続いていったのです
が….

 そんなことを思い出しながらの特別展鑑賞でした.
直筆の原稿や著作,正岡子規や高浜虚子との関係など,私の知らなかったことを多数学ぶことができてとても為になりました.
 展示の後のほうには「私の個人主義」や「則天去私」の展示もありましたが,特に則天去私は,漱石が没する展示のところでしたので, つい目頭に熱いものを感じてしまいました.

 鏡子夫人がしっかり支えていたのも良くわかり,とてもよい展示でした.

 で,出たところにある,漱石の言葉が書かれたバッジのガチャガチャ.
展示期間中の特別とのことだったのですが,サイトにどこにもなく,ついロッカーから返却された100円を投入!
 1回目で狙いの2番目である,「迷へる子,ストレイ,シープ」をGET.
調子に乗って「則天去私」を求めて2,3回とまわしてしまいましたが,結果,「自己本位」となんと「ストレイシープ」を再度GETすることになり,終了としました.
 1回100円也.値付けも絶妙.

 そのほか,一筆箋も購入して文学館を後にしました.
 実物大の落款もお勧めです.