2017年5月3日水曜日

ミュシャ展を見て

国立新美術館で行われているミュシャ展に行ってきました。
アールヌーボー調の柔らかい女性の絵ではなく、チェコに戻ってから描いた大作、スラヴ叙事詩がメインの展覧会です。
ゴールデンウイークの特別開館であったのですが、皆さんご存知で時間前に到着したのですが、既に100人以上が開場待ちで並んでおられました。

入場すると、すぐ音声ガイドを求める人の列に当たります。
通常の展覧会より多くの人が求めているように見受けられました(その理由はあとから分かったのですが)
その列をかき分け?本会場に入るとすぐ、スラヴ叙事詩の大作が並ぶホールでした。
既に会場には沢山の人が観賞中でした。
大きい作品なので、皆さん引いた位置で観賞。
作品の説明が左右と作品前にありますが、見ている所からは当然読めないので近づくことになりますが、そのおかげで作品に対してコの字型に人垣ができることになっていました。
音声ガイドを持っている方はそのままの位置で観賞されていたので、借り出しの列の意味が分かりました。
絵画としてはもちろん素晴らしいのですが、歴史的に蹂躙されたことの少ない日本民族であることを自覚しました。
色彩や明暗、絵画そのものでスラヴ民族の苦難が描かれており、主題も説明があるので理解できるのですが、描かれている人物名等を理解していればもっと心に来るものがあったのではないかと考えます。
宗教戦争の知識が少しはある私が絵から感じる無念や怒りより、きっと彼らが絵から感じる感情は強いと思います。
頭で考える感情と自分たちの民族が経てきた歴史からくる感情とでは、比べるべくもないでしょう。
やはりこれはスラヴ民族のための絵なのです。

しかし、不安、怒り、悲しみ、決意を訴えかける、強い目の表現。
イメージを強化するために空中に描かれる神などの象徴。
画面の中で受難の人々やキーとなる人を照らす強烈な光。
どれも素晴らしいものです。
撮影可の15作目イヴァンチツェ兄弟団学校
遠景の白くボケている建物や山などの描写も素晴らしいです。
個人的には9作目のベツレヘム礼拝堂の絵が暗い礼拝堂の中で燦然と光を浴びている人の印象が素晴らしいと感じました。
6作目の東ローマ皇帝として戴冠する…の一番前の丸顔のスラヴ女性も美しい!

パリ時代の作品では4つの花よりは、4芸術の方が私は好きです。
同じ絵の背景である青空
ヒヤシンス姫の美しさ・意志の強さはもちろんですが、折り曲
たくましい…

実は一番気に入ったのは、プラハ市民会館市長の間に書かれた壁画だったりします。
強い意志を示す主題となる人の表情、そして背景にいる副題の意味を象徴する人がかかれています。
闘う魂内、背景の戦士の眼力と構えた剣の力強さをはじめ、公正、堅固…どれも素晴らしい絵です。
げた肘に目が釘付けでした。
展示されているところを何度か回ってしまいました。
ミュシャが市長の間にいる人に「市長たる覚悟」をいつも思い出させる為の絵と感じました。
スラブ民族の歴史と誇りを忘れるな!そう言っているような。
背筋が伸びる、というべきか。
(気になる方は、グーグル先生に、「プラハ市民会館・市長の間」と聞いてください)

まだやっていますので、これから行かれる方はオペラグラス(死語?)を持ち、音声ガイドを借りることをお勧めします。



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